文学効能事典
例えばあなたが怒りに我を忘れそうになったとき、どんな小説を読むべきか。
あなたの怒りにそっと寄り添い、心安らかにしてくれる小説を読まなくてはいけない。
そんな小説思い浮かばない?
なら調べればいい。
どうやって調べるかって?
『文学効能事典』に決まっている。
先日、名古屋は伏見に注目の書店がオープンした。
その書店のことはまた今度紹介するとして、その書店の中に、ひと際目立つ一冊があった。
『文学効能事典』である。
「美しい」という言葉が似合う真オレンジの装丁は、手に取らない訳にはいかなかった。
内容を一目見て、次に気が付いた時にはレジにてお会計を済ませていた。
・思いきり泣きたいとき
・逃げ出したくなったとき
・人にすぐ頼ってしまうとき
日々の中で困ったことがあったとき、あなたが読むべき本があらすじと共に掲載されている。厚さ実に400ページの気合の入りよう。中には
・悪魔に心を売り渡したくなったとき
・陶磁器を壊してしまったとき
・恋した相手が尼僧でも諦められないとき
・男性型インフルエンザのとき
など、いつ使えるのかわからない項目もある。というかほとんどがこのパターンである。ご丁寧に五十音順に並べてあるが「盲目的な愛に溺れたとき」を五十音で検索する人がいるとは思えない。
一家に一冊。もしもの時に訳に立つ読書案内である。